年末までに審議会(労働力需給制度部会)として、派遣法改正に向けた「部会報告」をまとめるため、12月22日、25日と審議会が開催されました。詳しい報告は下記を参照してください。
この間の審議会では労使の意見が対立して、歩みよりは厳しい情勢です。本来なら25日に「部会報告」を取りまとめる予定でしたが、使用者側が「部会報告案」を持ち帰って検討することになり、最終的に28日に「部会報告」をすることになりそうです。
労働政策審議会(労働力需給制度部会)
今後の労働者派遣制度の在り方について傍聴レポート
JSGU政策部長 木村德太郎
12月22日に開催された第141回労働力制度部会についてレポートします。
第141回 平成21年12月22日(火)8:00~9:30
前回、公益から「部会報告に向けての公益委員案骨子」が発表され、それについて労使が意見を述べた。これを受けて今回は「部会報告案」が示され、これに対する議論の場となった。
清家委員・・・・・本日は、前回の意見を織り込んだ「部会報告案」を提出する。
暫定措置について補足したい。
登録型について、施行日から更に2年後までの間、比較的問題がなく労働者のニーズもある業務への労働者派遣については適用を猶予する。3年にこだわらず、特に女性に対して配慮し、製造業務以外の問題が少ないもので、暫定期間中に「派遣切り」などの問題があった場合は再考する。また、派遣先の賠償については法に格上げする必要がある。
鎌田委員・・・・・「みなし」の対象について、考え方は前回の部会報告にも記載した。
「申し込みみなし」の創設を盛り込む。民法上受諾に関して、申し込みの撤回はできず、一定期間は受諾可能とする。労働者が受諾の意思表示をした日から1年の労働契約をすること(派遣先との派遣契約の残余期間にかかわらず)詳細は添付資料2を参照してほしい。
使用者側委員・・女性や中小企業への配慮がされているが、もっと眼に見える形にしてほしい。また、製造業派遣禁止は考え直してほしい。この5年で製造業の置かれている環境は変わった。中国やインドなどの追い上げもある。製造業務でも登録型と同じように例外を設けるべき。
日雇い派遣について、ハローワークや職業紹介の有効性は分からない。もっと検証してからやる必要がある。
派遣先の正社員のワーク・ライフ・バランスをするために派遣を活用する。一方で派遣労働者のワーク・ライフ・バランスを考えなければならない。短時間でしか働けない人(たとえば育児・介護、学生など)や働いて所得を得て海外旅行をしようというのもワーク・ライフ・バランス。製造派遣禁止に「登録型」の例外となっている①から④までを認めていただきたい。特に高齢者は、退職した技術者の有効活用は、すでに海外において日本人の退職者を活用している事例があり、日本においても大企業から中小企業への技術移転を高齢者派遣でうまく実施されてきた。また、紹介予定派遣は正社員化への道があり例外とすべき。
製造業務を十把一絡げにしているが、製造業の中で、どういう業種で「派遣切り」があったのか詳細に分析する必要があるのではないか。そうした業種に限って禁止する等、全ての製造業務で派遣を禁止するというのは問題。製造一般、全て同じとして法律で一律禁止というのは問題あり。暫定処置には感謝するが、悪影響が最小限となるよう配慮してほしい。すでに読まれているとは思うが、日経新聞の本日の社説で三党案では派遣労働者の保護に逆行し、雇用を減らすとある。原則禁止には違和感がある。登録型の原則禁止は受け入れがたい。暫定措置としてプラス2年の提案をいただいたが、現在需給ギャップが大きい中で、2年後と区切るのではなく、当分の間とするほうが適当。もっと柔軟にこの部会で検討していくべき。是非検討していただきたい。
「みなし雇用規定」について、採用の自由等について前回はなした。現在でもまったく自由があるわけではない。たとえば障害者雇用や女性。雇用契約の合意について、違法な場合の保護は、派遣先にもあるが派遣元にもある。違法派遣を防止することが重要であり、そのためには別な対応が可能。たとえば企業名公表と罰則。派遣元はすぐに別な派遣先を見つける。また、派遣先からの賠償金での雇用の維持をさせることも考えるべき。なぜ「みなし」なのか。どうしても導入する場合、派遣先の違法性の程度を考慮すべきで、要件の明確化が必要。
事務局・・・・・派遣元ではなく派遣先なのかというと、違法状態の解消時にもっとも大切なのは雇用の安定であり、慣れ親しんだ勤務先は派遣先であり、労働者もそこでの就労を希望することがある。よって、そのことを考えると、労働者の選択も含め、このような形となる。
労働者側委員・・使用者側に言いたいのは、99年改正以降登録型の問題は指摘されてきた。2003年以降も労働側は終始一貫して主張してきたし、指摘してきた。使用者は事実を見て認識すべきである。中小企業がつらいというが、ある研究者が中小企業一般を一まとめにしてはだめで、頑張っているところ、普通なところ、ダメなところと三つある。
使用者側が罰則をつけろというが効果があるのか。行政が手続きをとっているうちに終わってしまう。労働者にとって大切なのは雇用の安定であり、よって違法な場合「みなし規定」は必要。
「みなし規定」での申し込み内容、一定期間について同考えるのか検討する必要がある。立証責任の分配のあり方について一般では労働者に対して重いので使用者側に重くする必要がある。
事務局・・・・・詳細については内閣法制局と相談しなければならない。どの時点からかというと、違法派遣が終わってから1年とするのが適当と考えているが、検討していただきたい。違法かどうか争いになった場合、違法行為自体は客観的に分かるので、訴訟自体は容易であり挙証責任などは考えなくても良いのではないか思う。
鎌田委員・・・・開始時期をどう捉えるかについては面倒な問題もあり保留したい。違法要件の立証について労働者が立証しなければならないが易しいものもある。原則として転換するのは少し難しいように思う。
労働者側委員・・一般的には労働者の立証責任として重い。この点についいては次回以降検討してほしい。
派遣制度は経営者にとって都合が良いが、労働者にとってはどうなのか。経営者が必要なときにしか働けない労働者がいる。これをどう考えるか。当初は専門性のある人たちが働きやすくすることで派遣が生まれたが、99年の自由化後変貌し、仕事を続ける中で賃金が上がるのではなく、経済状況の中で賃金が下がった。労働者が人として扱われていない。派遣は限定されたところのみ利用されるべき。そうした観点からあり方を見直す。それがこの委員会の責務でもある。
部会報告案は大筋において評価したいが課題もある。製造業務派遣の原則禁止の例外として常用雇用の労働者、つまり特定派遣事業は禁止から外すということだが、特定派遣の事業所はこの4年間に11,005から42,001に増加している。この特定派遣事業所の実態はどうなっているのか。雇用の安定がない部分もあるのではないか。実際には「派遣切り」もあった。特定派遣は届出制でゆるやかで、賃金未払いのまま事業所がなくなったなどの事例もある。常用だからといって安定性が高いとはいえない。実態を改めて把握する必要がある。届出制を許可制に早期に切り替える必要がある。
事務局・・・・・雇用の安定は特定だけではないが、特定派遣について事業開始時は届出制であるが、指導等は一般派遣事業者と同じように扱っている。ただし、事業報告が出てこないところについては出すように指導している。出さないところは無期限の事業停止措置をとる。
清家委員・・・・特定派遣については今後議論していただきたい。
労働者側委員・・「みなし」で契約成立のとき、違法があったときから契約成立するまでの間、年金などの社会保険の遡及ができないか。
事務局・・・・・労働契約は双方合意なので、申し込みみなしの時点からは難しい。
労働者側委員・・なぜ遡及できないのか。
事務局・・・・・派遣先での就労が続いている場合は問題がないが、他の派遣先で働いている場合や中断している間については難しい。
労働者側委員・・登録型派遣の原則禁止に違反している場合、自分が登録かどうかどうやって知ることができるか。また、派遣先はどうやって知ることができるのか。
事務局・・・・・労働者は契約時に明示されている。派遣先は派遣元が常用か登録か明示させる必要があるので、通知制度を盛り込む。
労働者側委員・・期間制限を超えて派遣を受け入れている場合、派遣先での雇用契約は期間の定めのないものと考えてよいか。
事務局・・・・・派遣元と同じ内容の労働条件なるので、元々の契約による。派遣元での契約が有期なら有期、無期なら無期となる。
労働者側委員・・反復更新している場合はどうなるのか。
事務局・・・・・契約内容と同様に考える。
使用者側委員・・特定派遣の実態把握は必要。免許制度を含め悪質な事業者の排除は必要で、かつ健全な派遣企業の育成が必要。
労働者側委員のいうように、中小企業にもいろいろある点はその通りである。しかし、構造的に旬の時期に必要、その他繁忙期のある場合など人での変動がある場合があり、一律に原則禁止として使えなくなるのが困る。
使用者としても今回の件に向き合っていないわけではなく、いろいろと対応してきている。問題があったから禁止というのは納得できない。
「みなし」については派遣元と同様な労働条件でというが、派遣先は常用かどうか登録かどうか、労働条件の内容は知りえない。与り知らない契約に縛られることはどうか。マージン率の件は営業上の機密で、派遣元と派遣先との商取引であり、派遣労働者は第三者とならないか。
事務局・・・・・雇用申し込みにあたっては労働者が受諾が必要であり、その際に派遣元が派遣先に(労働条件を)通知するというルールが必要。
マージンについては、派遣労働者は契約の一方の当事者である派遣元の従業員なので第三者とはいえないのではないかと考えている。
清家委員・・・・労使意見の対立があるので、できるだけ三者構成の中でギリギリまとめて報告したいと思っている。修文可能なものもあるので、次回までにまとめたい。公益委員は専門家として労使でまとめるような形にしたい。事務局と相談し、部会としてとりまとめたい。
以上
労働政策審議会(労働力需給制度部会)
今後の労働者派遣制度の在り方について傍聴レポート
JSGU政策部長 木村德太郎
12月25日に開催された第142回労働力制度部会についてレポートします。
第142回 平成21年12月25日(金)14:00~15:00
前回、「部会報告案」が示され、それについて労使が意見を述べた。これを受けて一部内容を加えた「部会報告案」が提出され、これに対する議論の場となった。
本来は今回の審議で報告をまとめる予定であったが、使用者側が内容に不満を述べ、持ち帰って検討したいとの申し出があり、最終的な結論は次回12月28日の部会に持ち越された。
清家委員・・・・前回中小企業に対する配慮をとの意見があったことから、今回「部会報告案」にこれについて記載した。また特定派遣についても資料を添付しているので、これについて事務局から説明していただく。
事務局・・・・・変更箇所3箇所について説明。「9 暫定措置等」の(3)2段落に「その際、とりわけ中小企業に~配意すべきである。」「Ⅱ.その他の検討項目について」の2段落に「その際、労働者派遣事業の許可・届出や派遣元責任者講習等の在り方~」そして2の最後の段落に「見直しの検討に当たっては、当部会において、特に中小企業~」を記載した。
(特定派遣事業所について、資料の説明があった)
使用者側委員・・中小企業について書き込まれているが、派遣禁止は経営に大きな問題がある。産業の空洞化による影響などの懸念がある。
労働者側委員・・前回から中小企業が問題となっている。日本の格差は世界的にみても大きくなっており、これは非正規労働者の増大と日本経済の分配の問題である。中小企業の労働者や非正規労働者の歪みを直すことが必要。そこだけ安くてよいでは根本的問題の解決にはならない。構造改革が必要であって、派遣制度で中小企業を別扱いにしてはならない。
使用者側委員・・中小企業団体の代表として、今回の報告案には一定の評価をするが、登録型と製造業務派遣禁止に反対しているのは、経営が苦しいからというわけではなく、構造的な問題があるからである。大企業は請負化ができるが、中小企業は混在せざるを得ないから派遣が必要だといっているのであって、単に経営が苦しいからではない。ワーク・ライフ・バランスの観点からも考えるべき。派遣労働者のワーク・ライフ・バランスを考えて活用すべき。それを実現するために派遣・パートでやっている事例がある。選択肢を狭めることは問題。
本日、特定派遣等の報告義務違反が発表されたが、前回労働側委員が言及されているところは明らかになっていないし、机ひとつで始められ、うまく法の網をかいくぐって儲けてやろうという事業主も多いのではないか。こうした事業主について、行政も監督指導する努力が必要である。そのために労働力支援が必要。また、健全な業界の育成支援が必要。その点は以前提出した「適正化パッケージ」にも盛り込んでいる。
本日の報告案には、派遣に依存しなければならない中小企業の実態に関する文言がなく、キチンと盛り込まれていない。登録型、製造派遣の項目に記載されているものと思っていた。
厚労省も実態調査が必要。まず、それを先にするべき。「派遣切り」の実態も産業分類の小分類に分けて分析すべきといったが、本日このテーブルに報告が載っていない。
「派遣切り」があったから諮問されたにもかかわらず、こうした分析がないのは不満足。禁止をすることで国民生活に大きな影響がある。したがって、まず実態調査を行なったうえで、それを部会で報告すべき。
重要な論点に使用者側の意見が取り入れられていないのは遺憾。規制は本来充分に時間をかけるべき。特に「みなし規定」はまったく新しい概念であり、制度自体の全貌が見えない中で、このままでは不十分。労働契約については他分会の意見も聞くべきである。
本日はこの案を持ち帰らせていただき、検討させていただきたい。
労働者側委員・・登録型、製造業務も常用は例外となっている。しかし常用もいろいろあって、保険にも入っていない事業主も多いのではないか。実態はどうか。雇用の安定を高めるには期間の定めにない雇用とすべき。今後の課題として重要である。
2点目、実態調査は大事。本日、事業停止命令対象の数は発表されたが、企業名を明らかにしているのか。特定派遣の実態把握をすべき。許可要件を含め検討すべきである。「部会報告案」には職業紹介事業のことが記されているが、この実態がどうなっているのか。組合への相談で、職業紹介で1年以上働いていたが雇い止めになってしまった。いろいろ調べると、職業紹介で日々紹介という扱いになっていた。毎日紹介料として680円支払っていたという実態があった。賃金の支払いも紹介事業者に委託していた。これに対する事務局の見解を聞きたい。初回事業についても見直し作業が必要。派遣に対対するような形のものや脱法的になるようなものは明確な処罰が必要。
事務局・・・・・まず、改善命令の公表は派遣元についてはしている。これは各都道府県の労働局で発表している。
職業紹介の個別の事案については指導している。同じようなケースがあり、9月に通達を出した。日々紹介をしていて、同じところにいっているケースは斡旋行為がないと紹介料の徴収はできない。それをしている場合は職安法違反となる。また、賃金についても紹介事業主が支払ってはならない。これは労基法の直接払いの原則に違反する。ただし、給与計算は委託可能。職業紹介事業について、来年度予算に組み込んでおり、認められたら検討に入る。
清家委員・・・・実体について「派遣切り」であるが、「非正規労働者の雇止め等の状況について」を見ると製造業が圧倒的に多い。
事務局・・・・・業種については大分類のみしかない。それ以上細かいところまでは調べていない。使用者側委員の意見から、それではだめだと受け止めている。
清家委員・・・・フォローアップで必要であればやるということか。
事務局・・・・・今後も続いて調査する。
労働者側委員・・大変な議論であった。部会報告について、派遣法改正に労使で真摯にやるべき。昨年秋以来の状況について、議論を始める前にマスコミなどの記事やテレビ報道を提示した上で議論すべきだった。200円しか所持金がなく寮も追い出されたという相談を実際に私たちは受けてきた。この一年、製造業派遣で何が起こってきたのか見るべき。
部会報告案について、均衡待遇には派遣先の福利厚生を含めるべき。情報公開についてはまあこんなところだと思う。
派遣先責任強化は、複雑な問題があるので次の議論でしっかりやるべき。「みなし」は15年改正のフォローアップの中で「在り方研究会」で4つの「みなし」の考え方があった。直接雇用が良いと思ったが、今回申し込みとなったのは評価する。もともと「みなし」についても見直しをすることになっており、突然出てきた話ではない。使用者にも検討の時間はあったはず。
暫定措置は、働いている実態があるので、暫定処置を設けるのはまあ仕方がない。(例外など)あまり省令で物事を決めるのは良くない。拡大されないことを望む。
専門26業務の在り方も検討すべき。制定当時は専門でも今はそうではないものがあり検討が必要。
通常国会に法案を提出するには、この報告をまとめることが必要。
清家委員・・・・労使双方の意見を聞いた。年末までの取りまとめをしていただけないかと考えている。
場合によっては意見を附すということもある。
使用者側委員に相談していただき、次回にまとめたい。今一度双方持ち帰っていただき、修正するところは修正し、各側の意見は少数意見として附すということにしたい。
以上
なお、次回の審議会は12月28日午前11時からとなっています。