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| [編集]労働政策審議会レポート(第135,136,137回)[活動|広報] |
労働政策審議会
労働力需給制度部会
今後の労働者派遣制度の在り方について傍聴レポート
JSGU 政策部長 木村德太郎
10 月7 日に長妻厚生労働大臣が労働政策審議会に対し、「今後の労働者派遣制度の在り方について」諮問しました。 これを受けて10 月15 日から労働力需給制度部会において実質的な審議が始まりました。 JSGU は今後この審議会の傍聴を続けていく予定です。 今回はすでに開催された135 回、136 回、137 回の審議内容のレポートをいたします。 なお、この審議会は公益代表3 名、使用者代表3 名、労働者代表3 名(委員名簿は添付のPDF ファイル参照)で構成されています。また事務局は
厚生労働省職業安定局需給調整課
となっています。
第135 回 平成21 年10 月15 日(木)9:00~11:00
冒頭、公益委員である清家篤部会長(慶応義塾塾長)が審議をするにあたり、 平成20 年政府提出の派遣法改正案をベースにして、これに当時野党であった民主党、 国民新党、社民党が提出した法案のうち労働者保護という観点からどの部分を盛り込む か議論をお願いしたいとの言葉がありました。 この発言の背景には、前回の答申をまとめる際に、労使の溝がなかなか埋まらず多大な困難があったため、白紙で議論すると収拾がつかなくなること。限られた時間で答申するためには論点を整理する必要があるためだと考えられます。 初回は公労使が諮問された内容について自由発言をする機会となりました。
1.労働側委員の主張 労働側委員は、昨年末の「派遣切り」以降の社会問題を取り上げ、
①多様な働き方という言葉で若者を中心に派遣労働に誘導したのではなかったか ②
セーフティーネット
の不備(正社員中心の考え方しかなかった) ③派遣労働での使用者責任のあいまいさ ④登録型においては能力開発が不充分
という問題を指摘した上で、持続可能な働き方を目指すべきであり、これまでの安定や信頼感を醸成出来なかった人事労務政策を考えなおす必要がある、また法律名に派遣労働者保護という表現を付け加えるべきとの意見を述べました。
2.使用者側委員の主張 一方使用者側委員は、公益委員が指摘した視点に関し、
①製造派遣禁止は派遣で働きたいという勤労の自由の侵害になるのではないか ②国際的に見て日本だけが製造派遣を禁止してよいのか ④ILO 条約に抵触するのではないか ⑤派遣労働者と正社員に期待するものは違い、繁忙期などでの活用が主である ⑤完全失業者が多く、求人率も低い今のタイミングに規制強化するのは適当でない
等の意見が出されました。
3.公益委員の主張 公益委員からは労使それぞれの意見や主張には説得力がある、実態についての資料提供を事務局に求めた。 鎌田委員からは政府案を元に労働者保護をいかにプラスしていくか。経済的効率よりも社会的にどうあるべきか、労働者保護の在り方をどうすべきか互譲の精神でまとめていただきたいと述べ、論点になる点について
①法律名については技術的な問題も絡んでおり、現行法にも保護を実現するための措置は書いてある ②日雇派遣は雇用保険法の日々又は30 日という定義もあり、雇用者責任のなかで30日としたが2 か月という主旨もわかる ③登録型については社会的に許容される派遣制度として、雇用の安定、紹介予定派遣、高齢者派遣などの観点と登録型から常用型への移行についても考える必要がある ④製造派遣について、政令で定める高度な技能育成については、派遣で働きながら高度技能を習得している人もいるのではないか ⑤均等待遇について総論では賛成だが現実には困難なものがある。日本の社会の中でどうするのか同一業務での賃金バランスをとる必要がある ⑥派遣先責任は法律に書き込む必要があるのか。未払い賃金について常用と日雇い、登録とはそれぞれ違うので整理が必要 ⑦違法派遣は偽装請負が正面から書かれていない(三党案) ⑧みなし雇用については勧告制度である。民事的な考え方も検討する
等の考え方が示された。
労使ともに依然として意見の対立があり、年内にまとめるにはまさに「互譲の精神」がどのように発揮されるかにかかっているように思えた。
第136 回 平成21 年10 月27 日(火)14:00~16:00
2 回目は「今後の労働者派遣制度の在り方の論点について」を提示し、次の10 のポイントに絞って論議していくこととなった。 ①登録型派遣 ②製造業務派遣 ③日雇い派遣 ④専ら派遣・グループ企業派遣 ⑤均等(均衡)待遇 ⑥情報公開 ⑦派遣先責任の強化 ⑧違法派遣への対処 ⑨罰則 ⑩法律の名称、施行実施日その他の事項 この論点に関する資料「今後の労働者派遣制度の在り方の論点について」に係る参考資料が配布され、事務局が時間をかけて説明し、その後部会長から本日は論点 ①の登録型派遣から④専ら派遣について論議をしたいとの提案があり、登録型派遣を原則禁止すべきかどうかから議論が始まった。
1.労働側委員の主張 登録型が問題である。雇用イコール派遣契約となっており、不安定雇用の状態になっている。また、臨時的・一時的という名を借りて恒常的、長期的な業務にも派遣が使われている。登録型はまさに間接雇用である。登録と常用に分けて考えるべき。 登録型派遣がなくなっても雇用の場がなくなるわけでなく、失業問題とはならない。 登録型は能力開発をすることは限りなくない。 派遣先が雇用リスクを派遣に押し付け、負わせていることが問題。 派遣はすぐに働けるが、働き始めると地獄。なかなか抜け出せない。 社会保険にも加入していない労働者がいることも問題。セーフティーネットから漏れている。 *社会保険に関しては事務局である鈴木課長から次のような答弁があった。 派遣社員の多くは社会保険、雇用保険に加入していた。しかし、失業等の給付を受けるのに必要な加入期間に満たない人がいたため、
適用条件の緩和
をしたところである。
2.使用者側委員の主張 登録型派遣で働く人には、自ら選んで働いている人も相当数いる。正社員を希望する人は、派遣元の正社員化や職業訓練などをして正社員への転換を図るべき。「声なき声を」聴くことが大切。 中小企業にとって、繁忙期に人手を集めるのは困難であり、自社募集で埋まらないところを登録型派遣がカバーしている。登録型派遣や製造派遣禁止は「究極の派遣切り法案」となるのではないか。 派遣で働く人は幅広く、労働側委員が想定する労働者と使用者側が想定する労働者が違うのではないか。登録型派遣を禁止した場合、今と同じような機能をもったものがあるのだろうか。ハローワークでは対応できない。 かなり白熱した論議となり、主に登録型派遣が中心で製造業務派遣については10 分程度しか時間がなかったため、次回は製造業務派遣について議論することになった。 この日は前回よりも労使の対立が明らかになり、その溝の深さがより際立った印象を受けた。
第137 回 平成21 年11 月10 日(火)9:00~11:00
3 回目は前回10 分程度しか議論されなかった②の製造派遣業務と③の日雇い派遣について論議することとなった。なおこの日は部会長の清家委員(慶応義塾塾長)が欠席し、鎌田委員の司会進行となった。 なお、今回の議論において、JSGU にも言及されている部分もあり、各委員の発言の要旨をメモをもとに記載する。
公益委員: 前回、労働側からは、いわゆる「派遣切り」等もあり製造業務派遣を原則禁止すべきとの意見があった。使用者側は中小企業において人員確保の点からも製造業務派遣の禁止は認められないとの意見があった。 本日はこうした議論だけでなく、原則禁止とした場合の例外業務についても論議されたい。
使用者側委員: 派遣先の中小企業数社からヒアリングした。その結果、介護をしている人や学生なども登録型の製造派遣で来ている。こうした人が派遣で働くことはワークライフバランスの手段として有効である。 前回労働側委員から一旦派遣になると抜け出せないという意見があったが、労働力調査などから20万人が派遣から正社員になっている。 中小企業側から正社員にならないかと声をかけても派遣のままが良いという人も多い。派遣禁止という議論があることに、当の派遣労働者からは「禁止されたらどうなるのか」という動揺の声もあがっている。 仮に禁止された場合、中小企業は新たに正社員を採用することせず、残業を増やして対応せざるを得ない。これはワークライフバランスに逆行するだけでなく、仕事をあきらめる(急な受注に対応するための要員が揃わないから)という企業もある。 適正な人材確保という点では登録型の場合、派遣元には膨大なデータベースがあり企業が必要とする人材を提供してくれるというメリットがある。 派遣にお願いする業務は、軽作業が中心であまり熟練を要しないが、機械化ができないような業務が中心である。 中小企業の場合、オーダーが1か月前にしか決まらない。自社で募集採用していては間に合わないため、多少コストはかかっても派遣会社に頼らざるを得ない。 「派遣切り」というような中途解除は、地域密着型の中小企業では出来ない。それは悪い噂がたつとその後の採用に悪影響を与えるからである。
労働側委員: 会社にとっては都合は良いだろうが、(学生や主婦でない)そこで働く労働者の意見を聞くべき。製造業務で働く人はフルタイムで働かなければならない労働者が多い。正社員になれないから派遣で働かざるを得ない人がいる。その人たちの将来をどうするのか。 働く先がないのか?2009 年問題のとき、多くの派遣先企業は正しい請負か直雇用にするという決心をしたのではないか。 派遣をなくしたからと言って、本当に困る人はいないのではないか。
使用者側委員: 学生や主婦もいるし、なにより禁止するというのは飛躍がありすぎる。請負は請負の課題がある。請負とするには一定のまとまった仕事量(40 名程度でするような)があるかどうか。中小企業の場合請負に出せるほどの仕事がない(規制強化で法案がまとまれば)「中小企業いじめ法案」だと考える。 派遣をやめても、社員を雇える状況にはない。
公益委員: 製造業務原則禁止した場合のみならず、例外とするならどうするか。あるいは正社員化するにはどうするかも議論してほしい。
使用者側委員: 昨年秋以来の「雇止め」については使用者として忸怩たる思いがある。使用者としても47.7%は何らかも対応をした。問題はあったと思うがキチンとした取組みもしている。悪い例だけ取り上げるのはいかがなものか。 (前回配布された)資料の18 ページの「雇用維持ができなかった理由」に派遣労働者が希望しなかった人が42.9%いたことも注意を向けるべき。 直接雇用、請負でも良いではないかとの意見があるが、製品のライフサイクルはより短くなっており、要員予測がより難しくなっている。最大雇用としての直雇用は困難。 経営に機会費用を受け入れよというのは出来ない。そうなると海外への移転は避けられない。 日本生産技能労務協会が実施した派遣労働者へのアンケートでも禁止反対との声が多い。 また派遣労働者の組合JSGU で59%が反対とのアンケートもある。
労働側委員: 製造について業務で禁止するという点について議論が必要。 問題は間接雇用の問題と考える。たとえば期間の定めのない雇用の場合、解雇濫用の法理があり、有期雇用には雇止めは労働契約の途中解除について一定の判断がある。 問題は派遣先が(派遣契約が商取引だから)慎重にやらなかった。これは雇用と使用の分離があるためで、派遣法の持つ構造的欠陥があるのではないか。 派遣労働者の雇用の安定をどうするか。派遣元の安定に対する意識が低い。 責任のなすり合いをしている派遣先・派遣元の問題をどのようにするか。
公益委員: 中小企業は臨時的・一時的業務には派遣が必要との意見と労働側がいう雇用の安定をどう達成するのか。派遣法が職安法44 条から(わざわざ)抜き出した点をもっと厳格に考えるべきとの意見があった。 派遣元の責任を強化しつつ、臨時的・一時的に対応することは必ずしも対立しないのではないか。例えば派遣元で常用化するという方法もある。グローバル化と雇用の安定としても考える必要がある。
労働側委員: 常用の定義をどう考えるかも問題で、実際には期間の定めのないものだけでなく有期雇用も含まれている。派遣元で常用雇用されている労働者は安定しているが、全体としては少数である。 論議をする場合常用と登録が入り乱れている派遣の基本は自ら雇用する労働者(派遣元が雇用責任をとるべき)中心であるべきで、有期雇用は合理的理由がある時のみにすべき。間接雇用が問題。
使用者側委員: UI ゼンセン同盟人材サービスゼネラルユニオンはホームページで間接雇用が「悪」ではない。直接雇用も間接雇用も労働に変わりがないと主張している。 無期雇用のみでの対応は現実的ではない。
上記のようなやり取りがあった。 その後、③の日雇い派遣をどうすべきか、という議論になった。 労働側委員は 2 か月というのは非常に着目すべきで2 か月を中心に考えるべきとの意見を述べた、これに対して使用者側委員は、日雇い派遣の原則禁止については前回政府の法案として出ており、それ以上の議論についてすべきではない。その後の状況から変更しなければならないという理由はないと述べた。 今回は製造業務派遣の原則禁止について議論されたが、改正論議でも焦点となるところであり、特に使用者側から強い抵抗があった。
また長文のため別途、PDFにてレポートと各資料を添付致します。ご覧下さい。
労働政策審議会レポート(第135回から第137回)
第135回労政審資料
第136回労政審資料
第137回労政審資料
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